住宅設計・店舗設計の新築改修

一級建築士事務所   林建築設計工房


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楽桜居

桜を楽しむ住まいができました。

  

桜は隣にある遊歩道の並木の一本ですが、四季を通じて楽しませてくれます。贅沢ですよね。

 

川も隣にあるのです。川のせせらぎや訪れる鳥たちがまたまた楽しませてくれるのです。

 

おかえりなさ~い。今日もお疲れ様!

 

広い玄関ホールには、本も沢山ありますよ。

 

こちらリビングとダイニング、段差があって少しセパレート。それぞれを、また全部を楽しんで頂きたい!

 

自然光が気持ちいいのです。

 

北欧の家具と和風の建具、結構あうんですよね。

 

コンパクトですが、使い勝手もいいつもりです。

 

洗面脱衣はすっきりと。右の引き戸の向こうは物干し室です。

 

雪見障子でお庭満喫。

 

夜桜なら、平日でも楽しめるかもね。桜で一献。

 

2階からも太陽サンサン降り注いでおります。

 

 

 

施主がこんな素敵な写真送ってくました。

秋は、桜の葉は落ちましたが、モミジが紅葉して、きれいです。

冬の雪化粧もたまりません。

 

なんだか、気持ちが暖かくなる家になりました。

 

 

 

 

『楽桜居』は施主が命名してくれた素敵な名前です。

名前を頂けるなんて、私も大変嬉く思いますが、家も喜んでいると思います。

作り手としての思いを記しました。拙い文章ですが、是非読んでみてください。

 


 敷地は旗棹型で、棹の根元部分で接道し、旗の頭部分の向こうには桜並木のある伏見川河川敷遊歩道が開けている。桜を眺められることと、川があることが施主がこの土地を選んだ大きな理由だ。確かに、対岸までの十分な距離と下流に広がる空間、風の通り、遠望、更に彩りとして桜、何れも頷ける魅力であった。但し、一つ大きな問題があった。用水路擁壁天端は道路より1m程下がった位置であるのに、敷地は平らに整地され、擁壁に想定外の土圧が生じていたのである。そこで、擁壁への配慮と、川面との親水性の向上を期待し、敷地に高低差をつけ、想定外の土圧を取り除くとともに、庭に傾斜をつけ、遊歩道、川面への連続性ある形態とした。更に居間の床レベル下げることで、水辺との一体感と落ち着きをもった変化ある空間構成に心掛けている。何はともあれ、施主にとって、桜と川を楽しめる快適な住まいであれば、幸である。

 

 現代において、住宅は一つの商品になりつつある。気軽に買える価格ではないが、個人の趣向に沿った多くの選択肢が存在し、実物を見たり、感じたりすることもでき、選ぶことの自由が存在する。また、造り手にも自由があり、規制の範囲内で自由な形、材料や色など様々なスタイルを提案することもできる。自由なことは楽しくて、活力ある社会には欠かせないことだと思う。一方、新しい住宅の姿は日本全国似てきていると感じるし、日本と欧米諸国の新しい住宅なども何か似通った感じすらある。社会のグローバル化により、様々な情報や物が簡単に手に入り、距離感が縮まってるのは確かであり、いいと感じる形や色すら共有し、それが住宅の形や色などにも影響を与えているのかもしれない。いいと感じることを否定することも、拒むこともできるはずもない。但し、日本や世界各地の歴史や風土が全く違う地域に、同じような住宅が多く建つことは望むべきことなのであろうか。住宅メーカーや建設会社、設計事務所が多く現れる昭和の前半あたりまでは、ほとんどの住宅は大工によって考えられ、造られていたと思う。所謂、大工の設計施工である。大工が設計施工する場合、材料の調達や施工の人出の都合で各々の地域に全くおなじではないが、似た形態で似た材料により同じような住宅が建てられ、それが街並みを造り、地域の独自性を生んできたのだろう。今残る懐かしく地域色濃い住宅は、大工がつくってくれた街並みの基盤であり、社会基盤ともいえるかもしれない。国籍や民族にとらわれない素敵なコスモポリタン的建築もいいが、地方の独自性を保ちながら、この地の風景のベースに相応しい建築もそれ以上の数で必要に思う。そんな担い手でもありたい。  

 暗くて、古臭くて好みではないとか、和風が嫌いとか、そんなことを感じさせない快適で、

日本が好きになる、そんな金沢の住まいを目指している。

 


下記は、施工者の(株)田村さんが寄せてくれた文章です。

直向きな思いと苦労が窺われ、一緒にお仕事ができたことを幸せに感じさせてくれる素敵な贈り物でした。是非ご一読を! 


 

「足跡を消しながら」〈(株)田村 田村優樹 社長 〉

 

3.6m、長さ18mの竿の先に、先のとがった台形の旗が付いている、典型的な旗竿敷地である。旗の向こうは伏見川の桜並木で、川に向かって降りていく庭を設ければ、四季折々の見事な眺望を楽しむことができる、抜群の敷地なのだ。建物さえ建ててしまえば・・・しかし、旗竿敷地の真ん中に建物が建ってしまったら、その奥にある川に面した庭の造成を行うことはできないのだから、施工者側のミッションは、まるで枯山水に櫛目をつける庭師のように、自らの足跡を消しながら進められることになった。

スキップフロアのまことに使い勝手のいい空間と、それを一体的にすっぽり蔽った大きな屋根という、設計者の意図を実現させるためにも、綿密な打ち合わせによる架構上の工夫が随所に要求されたわけだが、そんな苦心など、出来上がってしまえば目には見えなくなってしまうからこそ、この居心地の良さがあるのだろう。

私たち施工者は、お手伝いさせていただいた建物に自分たちの手跡を残すのではなく、ひょっとしたら自らの足跡を消しながら、関わっていくものなのかもしれない。

伏見川もやがて満開の桜である。絵に描いたような眺望に一献傾けながら、懐かしい大工さんの顔など思い浮かべていただけたなら、施工者としては望外の喜びというものだ。

 


 

 

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