◆志賀の家/家具屋さんのご紹介で北欧好きな施主に巡り会った。北欧のインテリアは洗練されて、日本でも人気が高い。家具や照明、食器、小物に到るまで独特のデザインは飽きの来ない楽しさがある。とは云っても、私は北欧通ではない。それにここは日本である。そこで、沢山の北欧コレクションに囲まれたい施主ともに、この地に相応しい住まい探しが始められたのである。引っ越し前の住まいは、既にきちんと整理された楽しい北欧もので賑わい、早く使ってくれと云わんばかりの状態であった。覚えられない聞き慣れぬたぶん北欧のデザイナーや商品と思われることばが飛び交う中、次第にものを大切にする施主の考えや日常に使われるものたちの姿を掴み取れるようになっていき、施主の為のオリジナルな住まいが姿を表したのである。ものたちの楽しさに呼応し、建築も楽しい設えになった。建物周囲にブルーベリーの垣根を配した庭を囲うL字型のプラン。天井高が5mほどあるリビングは、二つの階段とロフトと一体となり、家族が一同に集い、光と風を感じながらそれぞれの楽しみに勤しめる空間である。もちろん、「もの」の為の家ではないし、家族の暮らしが中心で、暮らしやすさや家族のつながりにも最大限に気を配っている。施主が囲まれたいもの達は、愛嬌があるもの、優しいもの、楽しいものといろいろあるが、総じて施主自身を表しているのかもしれない。言い換えれば、「もの」を起点に住まいを考え、たぶん「もの」が施主を理解する道具でもあったのだろう。住まいそのものが、最も人生に影響を与える「もの」のひとつであろう。大好きなものの一つとして、施主に大切にされることを期待している。写真撮影日は3年ぶりの大雪となり、周囲の景色は期せずして北欧?になったのであった。 |