住宅改修・町家改修・住宅・店舗の新築-設計監理

一級建築士事務所   林建築設計工房


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森山の家

(第28回住まいのリフォームコンクール国土交通大臣賞)

昭和40年代・1970年頃に建てられた

昭和が臭う住宅でした。

もうそろそろ天寿を全うしたかと、

この家自身も思っていたかもしれませんが、

なんのこれしきもうすこしがんばりましょって、

第二の人生のスタートです。

住宅改修:森山の家 既存1/石川 金沢

リフォームへの期待

こんな質問を受けたことがある、「新築とリフォームは何が違うのですか」と。

違いは明瞭であるとも言えるが、考えさせられる深い質問である。この質問をした施主はご結婚を機にこれからの暮らしにあわせた住宅を手に入れることを念頭に二つの選択肢について、私に問うたのである。おそらくご自分の頭の中を整理する為の問いであろう。設計する立場として、こちらも整理をしておく必要がある。

第一に全てが新しいもので出来ている新築住宅と、リフォームしたところで、既存材料が残る中古住宅では新しさに違いがある。第二に機能や性能、形態を選んで造れる新築と既に機能と性能、形態を持っている中古では、達成できるものに違いがある。第三に工事費用に違いがある。他にも違いはあるだろうが、この三つ違いを重点的に考えてみる。第一の新しさの違いは、当然であり、改めて質問した目的には含まれないと考えることが妥当であろう。施主にとってこの違いは問題ではなく、新しさに固執しない気持ちの表れであったのかもしれない。材料の新しさは耐用年数や美観に影響を与える。残存耐用年数が長いほど価値を感じるのが当然であろうし、美観は古くなると損なわれてしまうものばかりではなく、その趣が高まる事さえもある。従って、住まいの性能を確保できれば、古さは決定的な問題ではないという、潜在的意識が施主にあることを読みとることができるのではないか。第二の機能・性能、形態の違いは、中古住宅をどこまで変えることが、また向上させることができるのかという、問いであり、具体的には使い勝手や耐震性能、室内熱環境性能と外観やインテリアといった部分を差すことになろう。これらは、中古住宅の状況や設計および施工者如何に左右され、第三に上げる工事費用とも関係が深い。第三の費用の違いは、新築の場合、一から十まで必要となり、中古の場合はしなければいけないことと、したいことのトータルであり、また出来ることでも決まってくる。中古で一から十まで行うことは、解体なども必要となることから、当然新築以上の費用になることが明らかである。

この一人の施主の質問から私が感じることは、新しいものに偏った価値観が薄らぎつつあること。機能・性能・形態に加えて費用について、リフォームの可能性に期待していることである。

リフォームの問い合わせを頂く際、このような思いや期待を感じることが少なくない。「森山の家」の施主もそのうちの一人である。

住宅改修:森山の家 既存2/石川 金沢 住宅改修:森山の家 既存3/石川 金沢 住宅改修:森山の家 既存4/石川 金沢

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